モフモフスキーのブログ(movmovsky's blog)

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計数工学科の授業をざっくりと紹介します

こんにちは。モフモフスキー(rab (@movmovsky) / Twitter)です。

今日は私(記事執筆時で学部3年)が所属している計数工学科の授業を紹介したいと思います。新しく計数に内定された方や進学を考えている方にも、学科HPには載っていない授業の所感などをお届けできたらなと考えています。

(底点等の進学するまでの情報って結構潤沢ですけど、入った後の情報って比較的少ないですよね..)

 

なお、現在私が学部3年なこともあり、本記事では計数進学後の2Aセメスターと3Sセメスターのみに絞って話していくので、その点ご承知おきください。

 

3Aセメスター以降の授業に関してはこちらの記事などに詳しく書かれています。

(2Aや3Sの情報もあります)

 

注意

  • 講義の感想はあくまで個人のものである点ご承知おきください。
  • カリキュラムは執筆者が履修した当時のもので、最新の情報は必ず公式HPや便覧等を確認するようにしてください。(卒業に必要な単位数など書いたほうが親切なのかもしれませんが、正確な情報を必ずしも提供できない点から省略させていただきます。成績評価方法やテスト形式なども、下にあるようにオンライン授業で事情が異なることが予想される為あまり話をしません。)
  • 記事執筆当時はほとんどの授業がオンラインで行われていました。よって対面で行われる場合では事実上不可能な履修をしているかもしれません。
  • 自分が履修した科目のみ記載しているので、もしかしたら定番の授業とかの話をしていないかもしれません。(私は数理コースなのでシステムコース志望の方などは留意してください。)

 

ではさっそく始めていきます!(^^)

 

全体を通して

1年くらい授業を受けてて、「これやっておいて良かったな」とか「これやってなかったら少し苦労するかも」と思ったことを書いておきます。

プログラミング

計数に進学を考えている方でプログラミングができない事を不安に思われている方をたまにお見かけするのですが、「適当な言語(Pythonとか)になんとなく触ったことがある」程度でおそらく十分だと思います。具体的にはfor文とか配列とか知っていて何回か書いたことがあれば、後述するC言語の授業を除いて、課題も問題なく行えると考えています。C言語の授業(3Sセメスター)はちょっとだけ苦労するかもしれませんが、カリキュラム的にも3SセメスターはこのC言語の授業にそれなりの時間を割くことが想定されているはずです。少なくない人がC言語初めてという状態で臨んでいます。(私もそうでした)

TeX

数式などを含んだ文章をキレイに書けるツールです。3Sセメスターになると実験の提出の際にTeXの使用を推奨されることが有ります。多分TeXを使用しなくても切り抜けられると思いますが、遅くともこのあたりでTeXの使用を始めるのがおすすめです。ローカルにTeXの環境構築をしてもよいですし、Overleaf等のクラウドツールを使用してもよいと思います。

履修を決めておく

計数工学科の卒業には一定以上の単位数が必要になるほか、授業のカテゴリごとにも一定以上の単位数が必要になります。カテゴリによってはある学期にしか開講されないことがあるので、あらかじめ4年次までの履修を決めておくことをおすすめします。

2Aセメスター

2Aセメスターはターム制の講義をいくつか履修したので2種類の時間割があります。他学部の授業もいくつか取りましたが、紹介するのは計数の授業のみにします。

 

左が2A1ターム・右が2A2タームの時間割

授業のカテゴライズとして「数理系」「システム系」「物工系」「実験系」としていますが公式なものでは無いです。授業の紹介がしやすいように執筆者の主観で分類しています。

数理系

最適化手法

最急降下法やNewton法などの基本的な最適化アルゴリズムからはじまり、後半ではDijkstra法等の離散最適化アルゴリズムを扱います。競技プログラミングをやっている人は後半のパートを楽しんでいる様子でした。個人的には「双対」という考え方が面白いと感じました。

数値解析

連立一次方程式の求解や積分計算といった様々な問題を計算機上で解決するための基本的手法を学習します。

基礎数理

「基礎」とついていますが2Aセメスターで最も難しい授業でした。二項関係グラフ理論、関数の収束、工学の為の線形代数など幅広く学びます。幅広いからといってそれぞれのトピックを浅く触れるのにとどまるのではなく、授業は爆速で進んでいきました。グラフ理論は比較的面白かったです。本講義では線形代数も扱うのですが、教養でやっていたのでタカをくくっていたら結果的に最も難しいトピックでした。

また、授業内で出てくる質問の内容が極めて高度で圧倒されたのを覚えています。それに対する教授の解答も含めてヤムチャ視点でみていました。

数学1D

工学部他学科と合同で「常微分方程式変分法・ベクトル解析」について学びます。詳しくはわからないのですが、変分法解析力学寄りの内容で難しかったです。

数学及び力学演習Ⅰ

数学1Dと全く同様に「常微分方程式変分法・ベクトル解析」について学習します。数学1Dの演習授業というわけでは特段ありません。挙手制で解いた問題を発表する形式なのですが、学科の方の発表のクオリティが非常に高くて驚きました。想定されている解法を解説した後、別解を何個も紹介する人、ビジュアライズしてみる人など各々が発表に対して真剣に取り組んでいて刺激を受けました。

システム系

回路とシステムの基礎

A1タームに週2回行われる授業です。線形時不変システムを中心に取扱い、システムの安定性や伝達関数の諸性質について基本的なことを勉強しました。色々と応用先があるとは思いますが、信号処理や制御論などに話が広がっていきます。地味にこの授業好きでした。

計測通論C

様々な物理量を計測するための手法について解説していきます。2Aセメスターの他の授業が様々な分野の基礎を扱う中で、この授業は実際に使われている計測手法を細かく1つ1つ見ていきます。授業の初回で「計測なくして科学なし」と教授がおっしゃっていたのを覚えており、私もそうだなと感じたのですが、これ準必修である必要あるのか...?

物工系

2Aセメスターは卒業単位の関係上、計数の学生も物工開講の授業を受ける人が多いです。何か得られるものがあるのではないかと思って臨んだのですが、結果的にはなかなか積極的になることはできませんでした。。(悲しい)

物理にあまり詳しくないので、物工系の授業の紹介は軽めにします。

統計熱力学

教養でやった熱力学の内容(maxwellの関係式とか)を前半で復習した後、後半でカノニカル分布などを学習します。

電磁気学第一

ほとんど教養の電磁気学と同じです。

量子力学第一

量子力学演算子や、期待値、不確定性原理など量子力学の基礎を学びます。

波動関数角運動量、摂動論の話など非常に盛りだくさんです。

あと成績が公開されるのが凄く遅いです。

物理数学

上の3つの講義の発表形式の演習授業です。

3Sセメスター

正式に数理コースへの配属が決まり、授業も徐々に数理系の内容が中心になり始めました。3Sの特徴としては〇〇数理工学という数理コースの授業が始まるほか、実験やプログラミング演習が始まることが挙げられます。

3Sセメスターの時間割



数理・システム共通系

計数工学実験

計数の各研究室が用意した実験を通して基本的な実験のお作法などを学びます。1つの実験に対して3週程度かけて、1セメスター通して合計4種類くらいの実験を行います。半分以上の実験でmatlabを使うので終わった後はmatlabが少しわかるようになります。きちんと実験の予習してきている人が多く、班内で詳しいディスカッションができることが多かったのがとても良かったです。

計数工学プログラミング演習・数理情報工学演習第一C

C言語を用いて動的計画法やソートアルゴリズムDijkstra法などの基本的なアルゴリズムの実装法を学びます。プログラミングがあまり得意でない人にとってはこの授業のペースは結構早く感じると思います。ポインタの説明とかはあまりありません。プログラミングの知識が事前に無くともで授業だけで学習が終わる、と言ってしまうとちょっと嘘になるので、必要に応じて自分で調べたりする必要があると思います。

数理系

代数数理工学

普通の代数の授業です。基礎数理で扱った二項関係の復習をした後、群環体、そしてグレブナー基底などに話がつながっていきます。この授業は様々な概念がハイペースに飛んでくるので一つ一つ抑えないとちょっと厳しくなります。ちなみに私は後述の解析と確率を含めた数理工学シリーズの中で一番好きな講義でした。

解析数理工学

測度論の話からルベーグ積分の話へとつながっていきます。詳しくは知らないですが、ガッツリ金融工学の話をやるとこの授業の内容が活きてくるらしいです。(他にも様々な分野の裏で動いている分野なので学習すると助けられる場面があるかもしれません。)

確率数理工学

測度論を微妙に絡めた確率空間の話から始まり、様々な確率分布、確率不等式、確率の収束(パチンコ)大数の法則中心極限定理、確率過程、マルコフ連鎖など様々なトピックを扱います。教授曰く、確率空間・確率収束・大数の法則中心極限定理の理解が講義の主目的であるそうです。

数理情報工学演習第一A

〇〇数理工学シリーズの発表形式の演習授業です。全員が最低3回発表することが求められます。いいカンジな発表のトレーニングになりました。全員が発表するタイプの授業であるのにも関わらず発表が全員しっかりしていて刺激を受けました。

数学2D

発表形式の演習の授業です。複素関数論とフーリエ変換ラプラス変換を扱いました。学期のはじめは留数定理ってナンだ?みたいな状態だったので、キレイな定理で感動しました。

システム系

3Sセメスターにおいて〇〇第一という名前の計数の授業はシステム系の授業です。いくつか履修しました。システム系の話はちょっと軽めにすることにします。

回路学第一

等価回路やオペアンプ、スイッチング回路、DA変換、AD変換に関する内容を扱います。

認識行動システム論第一

エンタメ性の高い授業です。ある意味で3Sで一番面白い授業でした。前半でVRを通した人間と機械の融合の可能性について考えた後、後半で認識行動システムに関する学術的トピックをざっと見ていきます。

制御論第一

制御論の基礎を学習する授業です。2Aの回路とシステムの基礎で学んだ内容を復習した後、ボード線図やナイキストの安定判別法、ロバスト制御やPID制御などの制御論の基本的概念をつかむことを目標にします。今のところ研究トピックにするつもりはないですが、個人的には結構面白い授業の一つでした。

信号処理論第一

前半で各種フーリエ変換を学んだ後、離散時間線形時不変システムやフィルタの設計について学習します。

計算システム論第一

システム系の授業の中では一番好きな授業でした。論理回路の表現法から始まり、論理合成や演算回路の構成について学びます。講義の最後にはアセンブリ言語やプロセッサの構成について少し触れて終わります。

前半パートはパズル要素が強く面白かったです。

3Aセメスターの計算システム論第二ではコンピュータシステムの構成について話が続いていくそうなので履修しようかなと考えています。

進学以降の1年を振り返って

進学してからあっという間に1年が経ちました。こうして振り返ってみると、授業についていくだけで必死だったものの、頑張っている同期に囲まれているうちに結構成長したのかもなと感じます。3Aはより自分の興味のある履修が組めると思うので、さらに主体的に学習を進めていけたらなと考えています。

 

総じて、計数工学科には様々なことに真剣に取り組む学生が多いです。授業などを通して出会う学生は皆それぞれ何かしらに良いところがあるなあと感じます。学科の授業に真剣に取り組む学生、自分の興味内容(競プロとか)を深めていく学生、課外活動に精を出す学生、資格取得に励む学生など、熱意を持って取り組んでおり、日々刺激を受けています。

 

進学選択から1年経ちましたが、もう一度学科を選べと言われたら計数か工学部電子情報工学科を選びます。(なんで急に電情が出てきた?)

計数進学を考えている学生、計数に進学が決定した学生に少しでもこの記事が役に立てば幸いです。

 

おわり