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東京大学 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 院試体験記

こんにちは。モフモフスキーです。2023年(2024年4月入学予定)の数理情報学専攻の大学院試験を受験したので記録を残しておきます。これから受験する皆さんのお役にたてば幸いです。

自己紹介

どういう人がこの体験記を書いているかは大事だと思うのでそれを書いておきます。私は今回受験した数理情報学専攻の弟分に相当する学科に所属するいわゆる内部生です。学科内ではふつうな成績をとっていました。

書類選考とTOEFL

期日(筆者受験時は6/8)までに必要な書類を提出します。願書、各種証明書、検定料の他にTOEFLスコアと3ページ程度の「数理情報学に関するレポート」の提出が求められます。TOEFLについては厳密な締め切りは他の書類とは異なっていましたが、何かのミスでTOEFLスコアが認められなかったりすると悲しい気持ちになるので早めに申し込みましょう。4月くらいに一度申し込んでおけばスコアが認められなくても6月にもう一度受験するチャンスがあると思います。といいつつ、2回受験すると円ドルレート次第では7万円近く取られてしまいます。すごく遅い人は6月上旬に受けていた気がします。(これは結構まずい気がします。)私は1月に受けました。

TOEFLは合否に関係がある説とない説が存在していますが、私はない説を支持しています。

「数理情報学に関するレポート」は志望理由および関連した定理やアルゴリズムなどを説明させるレポートです。論文等を引用する際のフォーマットが指定されているのできちんと従いましょう。

作成したレポートは面接時に使用されると思うので、やっつけ仕事でやりすぎると悲しい思いをするので気を付けましょう。

共通数学

専門数学とは別日で、情報理工全体で共通の問題です。

線形代数、解析、確率統計からそれぞれ1題ずつ合計3題出題されます。試験時間は各大問ごとに50分です。個人的には意外と難しいと思います。9割くらいとって当たり前みたいな雰囲気がありますが(私の周りだけ??)、過去問でも8割も取れないことはザラにありました。過去問を見た感じ、出題されるテーマが決まっている以外には特に傾向とかそれに相当するものはなさそうです。(個人の感想です。)本番では線形代数がすごく難しく感じられて、全然解けずに悲しい気持ちになっていました。

過去問を解く事と有名な微分方程式を解けるようにしておくこと、フーリエ変換ラプラス変換の性質を抑えておく事など以外には、特別に共通数学対策は行わずに専門とまとめて勉強していたので、何を勉強していたのかは専門の部分でまとめて書こうと思います。

専門数学(数理情報学)

共通数学とは別日です。

数理情報学に関する大問5つから3つを選択する形式です。試験時間は3時間です。線形代数、解析、代数、確率統計、アルゴリズム、最適化あたりから出ます。確率統計、アルゴリズム、最適化は割と毎年出ている気がします。他は代数、線形代数微分方程式を題材にした大問が2年に1回くらい出題されます。共通数学同様、出題の題材は決まっていますが、過去問の傾向などはあまりなさそうです。(少なくとも私には感じられませんでした。)

 

勉強したこと

6月の中旬あたりから勉強を開始していました。ちょうど2か月くらいの勉強期間です。

  • 過去問
    • 共通数学と専門数学共に10年分くらいに目を通しました。ただ、先ほども書いたように特に傾向などがあるわけでもなさそうなので、本番の点数を上げるという目的に対しては沢山解いても仕方がないようにも思います。(解く事そのものが楽しければ解くといいと思います。)
  • 講義の復習
    • 講義で取り扱った簡単な命題や重要な定理の証明をさらいました。他にも各講義内容に関連した演習問題も探して解いたり、よくある計算方法なども学習していました。講義の復習に関連して、数理情報学専攻が公式に案内している勉強の参考となる図書の中で気になったものに目を通したりしました。また、東大工学部が出している「工学教程」シリーズの図書も参考になると思います。(工学教程シリーズは自分には内容が高度すぎて理解しきれなかった講義の理解の助けになったりもしました。)
  • 大学数学を取り扱っているサイトやブログの閲覧
    • 地味にこれは役に立ちました。(しかも勉強になることが多く書かれていて面白かったです。)高校数学の美しい物語理数アラカルトといったサイトを覗きました。知っておくと役に立ちそうな基本的なことが列挙されています。私が受験した年の専門数学の第一問でフロベニウスノルムと行列のトレースに関する性質を扱う問題が出たときには、こちらのサイトで見ていたのですごくうれしい気持ちになりました。

       

口述試験

私が受けた年はzoomを使用したオンライン形式での面接でした。10分程度の面接で、おそらく全ての受験者が少なくとも第一志望の教員とは面接が行えるような部屋割り振りになっていると思われます。(確証はありません。)事務的な確認と志望理由を合計3分程度で聞かれたのち、書類選考で提出したレポートと志望理由および研究したいことに関して深堀りされます。私は第一志望の教員からの質問が8割程度を占めていました。面接は私服で受験し、そのこと自体はおそらく合否に関係ないと思われるのですが、スーツで受験してもよかったなと思っています。

感想

脅かしたいわけではありませんが、(おそらく)内部生と外部生の評価基準は同じと思われるので、時の運で内部生でもかなしい結果になってしまうこともあると思います。

合格できるか不安になる気持ちもあると想像されますが、口述試験含め具体的な評価方法も公開されていないので考えすぎてもやっぱり結論は出ません。こうした不安を解消するには、落ちたあとのサブプランを考えておくか、体を動かしたり友達とご飯に行ってみたりしてストレスを昇華させるのが良いと思います。

とはいえ、過去問の中には考えていて楽しい問題も各々あると想像されますし、本格的に研究に取り組む前に基礎的なことを復習すること自体は面白いし役に立つことだと考えられるので、そこは前向きに捉えられたらいいのかもしれません。(終わった後だからこういう事を言えているだけかもしれませんが。)

この記事がお役にたてば幸いです。おわり。